勝峰 昭の「神の美術」あれこれ。

キリスト教美術―スペイン・ロマネスクを中心に― AKIRA KATSUMINE

2013年06月

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過ぎ去った5月は聖母マリアの月だった…

スペイン各地、修道院などでは優雅で聖なる行事が夜半に執り行われたことだろう。


この裸体の女性は愛の悦びを描いたムンクの1894-95年頃の作品である。

一見する限り、魅惑的な魔性を感じさせる女性の像ではある。

洞穴なのか、壁龕みたいな凹みなのか良く分からないが、何となく野性味のある背景である。

ムンクはこの絵をとくに愛し「身をささげる女―聖母の痛みに満ちた美しさに包まれる」と

脚注をつけている。



マリア信仰は、西欧ではとくにスペインにおいて盛んになり、12-14世紀頃は一世を風靡し、

所謂聖母を守護にした「Santa María~」聖堂群が各地に建てられた。


この絵はどこにもロマネスク的な要素に行き着く形相を備えてはいない。

しかしやや見方を変えれば無限の母性愛、 深い慈悲、消え入るような哀しみなど、

聖母マリアの時代を超えた神の母としての崇高さが漂う抽象図像ではある。


手法こそ違うがいつの時代も神の母は魅力的である。


とくにムンクの場合は哀しみの底が見えない。





【お知らせ】

スペイン・ロマネスク・アカデミー(日本)では、会員登録の受け付け中です。

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スペイン・ロマネスク・アカデミー(日本)よりお知らせです↓↓↓


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日本初のスペイン・ロマネスク美術の研究組織が発足

講習会や「日本スペイン交流400周年」のイベント協賛など活動を開始

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日本におけるスペイン・ロマネスク美術研究の第一人者である勝峰 昭を

中心とした有志により、「スペイン・ロマネスク・アカデミー(日本)

La Academia del Románico Español (Japón) 略称 AREJ」が

2013年2月に、設立されました。

http://arej.jimdo.com/




AREJはスペイン・ロマネスク美術の《知識》《普及》《交流》を

基本方針とし、会員同士の自由闊達で知的な交流を通して、この分野の

研究を深めていくことを目的としています。

学会とは異なり、スペインのロマネスク美術に関心さえあれば、

誰もが会員になれる開かれた組織は日本初の試みです。




2013年9月より、勝峰昭を講師として講習会を実施予定で、このたび

webサイトにて会員募集を開始しました(会員登録は無料)。


http://bit.ly/173C7wW



また「日本におけるスペイン年 (2013年6月~2014年7月)」への協賛として、

ロマネスク美術最大の組織、スペインの「Amigos delRománico

(ロマネスク友の会)」会長、フアン・アントニオ・オラニェタ・モリーナ氏

講演会のコーディネイトや、香取慶子木版画展「スペイン・ロマネスクの世界」

の開催を企画しています(共に在日本スペイン大使館主催)。




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【URL】http://arej.jimdo.com/




■理事長 勝峰 昭 プロフィール

1933年生まれ。大阪外国語大学イスパニア語学科卒。

著作:『イスパニア・ロマネスク美術』光陽出版社、2008年。

『神の美術─イスパニア・ロマネスクの世界』光陽出版社、2011年。




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<本件に関するお問い合わせ>

E-mail:romanico.espanol@gmail.com

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写真(二枚とも):サント・ドミンゴ・デ・シロス大修道院、下階回廊柱頭 ©KKT



 タウマスとエレクトラの娘たちアエロ -危険な暗い娘たち- 彼女たちは悪者、嵐と死を呼ぶ悪魔でもある。

女の容貌をして鳥の体、蛇または蠍の尻尾をもち、悩ましげな吐息も吐き気を催す臭気を放つ。当初は羽をはやしていた。Arpíasという言葉は本来ギリシャ語由来で“貪欲”を意味する。

つまり象徴的にこの意を表すもので、ギリシャの詩人ホメロスによっても描かれている。
 


 このハルピュイアがスペイン・ロマネスク柱頭彫刻に図像として取り入れられてきた。

山羊の脚、口から二つまたは三つに裂けた舌を出すこともある。

躯体は天国を飛翔する鳥の様だが、本来は地上の空想上の鳥で、しょっちゅう人間の魂や子供を苦しめる厄介な存在である。

魂を運ぶ役割も与えられLa Odiseaの詩物語にも父ユリシーズの死をアテネの女神に伝える場面にも登場する悪者的な、我々にとって馴染み深い存在でもある。



 一般的にはその容貌と姿態は寧ろ蠱惑的で、半端でない魅力が漂うものもあるが、
シロスの回廊・下階のarpíasは悪女のそれで、むしろ悪魔的である。


 スペインの修道院回廊には、このような伝説上の奇怪な生き物、獰猛な怪物、象徴的動物などの柱頭彫刻と、聖書や聖人などの聖なる情景が彫り込まれた柱頭などと共存しているが、一体その意味は何か。

この場では詳細に述べないが、これまで碩学が様々な見解を披露している。

元々は東方美学「動物寓意集・形態学」、「象徴学」、「キリスト教的対置の美学」(弁証法的考察)にその根源的由来があると思う。




【お知らせ】

スペイン・ロマネスク・アカデミー(日本)では、6月1日より
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