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英語読みのスペインSpainとは言わず イスパニアHispania と書くことにこだわるのは、

中世時代のかの地はHispaniaだからでその方が臨場感をもって中世に浸れるからです。



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2000年アルタミラの洞窟を再訪するのを目的に、マドリードに降りたちました。

その頃は1日20人限定で入場できて、それも一組5人までと制限がありましたが、
そんななか直にこの目で見ることのできるという至福の時間を持つことができました。


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北に向かう途中ブルゴスのシロス村にあるサント・ドミンゴ大修道院に寄りました。

ちょうどユーロに移行するころのことでチケットは150ペセタとなっています。

2000年2月22日のことです。


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修道院回廊をゆっくり歩いていると四隅にある8枚のパネルのひとつ「トマスの不信」の前で動けなくなりました。

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【イエスはトマスに言われた。
「あなたの指をここに当てて、わたしのわき腹に入れなさい。
 信じない者ではなく、信じるものになりなさい。」
「わたしを見たから信じたのか。見ないのに信じる人は、幸いである。」】
  (ヨハネによる福音書20章より)


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あたかも啓示を受けたかのごとくこの美術を究めたいという思いが昂じて

仕事でマドリードに長年駐在していた時には訪れたことのない

田舎のロマネスク聖堂や修道院へと

その後日本から足しげく通うことになりました。

 

El romanico



こうして執筆したのが『イスパニア・ロマネスク美術』(2008年、光陽出版社)です。
 
当初タイトルは『イスパニア・ロマネスク美術探究』を考えていました。
まさに探究という思いだったのです。
 
大学の先輩でもあり元スペイン駐箚特命全権大使の林屋永吉氏に、当時ご相談ご助言いただいてシンプルなタイトルにしたという経緯があります。

スペイン文化省のバルタサール・グラシアン基金の助成を受けて出版できたことに感謝しています。

また日本図書館協会選定図書になったことはありがたいことでした。
 
 

その後、自由に個別のテーマを幅広く掘り下げてこの美術の明らかにしたいと願ってまとめたものが

『神の美術ーイスパニア・ロマネスクの世界』(2011年、光陽出版社)です。

すでに一千年続くというサント・ドミンゴ・デ・シロス大修道院付属図書館に二冊とも収蔵いただいています。


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なぜこのように夢中になって執筆に駆り立てられたのか、

正直言えば書かされているという他ありません。

何事も「究める」ということは終わりが見えないという思いでいます。
 

(勝峰昭執筆:2011年8月1日)



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    (アルタミラで入手した切手たち)





○今回は節目の日で、著作の紹介をいたしました。(管理人)



【お知らせ】

勝峰昭著『イスパニア・ロマネスク美術』、『神の美術―イスパニア・ロマネスクの世界』(光陽出版社)は刊行以来、
三省堂書店神保町本店の美術書コーナーでお取り扱いいただいてきましたが、
2022年5月新社屋建設のため移転縮小となることにより、今後はアマゾンだけでの取扱いとなります。


イスパニア・ロマネスク美術
勝峰 昭
光陽出版社
2008-08T


 






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FIN

(次回2022.06.12更新予定)

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